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【竹内亮監督】中国最貧困地区に暮らす少数民族!日本人監督が見た現代中国の格差とは?

中国在住ドキュメンタリー監督の竹内亮さんが中国最貧困地域・四川省の奥地大涼山の状況をYOUTUBEで配信!

このドキュメンタリー『大涼山』の10分版がYahoo!で記事として公開されています。
しかし、たった10分の動画では伝わらない部分がたくさんあります。
そこで、ここではこのドキュメンタリー『大涼山』の完全版(約50分)の動画を紹介します。

なお、この記事では、このドキュメンタリー映像内にも登場する徐老师(徐先生)にスポットをあてて見ていきます。

”経済発展が著しい中国”とは別の中国の姿とは?大涼山

大涼山とは?まずは地図で位置関係を確認してみましょう。

中国の首都:北京! 発展著しい上海!
そして、今回紹介する中国最貧困地域・四川省の奥地大涼山!

四川省はパンダでも有名で、ジャイアントパンダ繁殖研究基地があり、観光でパンダを見に行くこともできる施設があります。
また、道教の総本山であり、”都江堰”が世界遺産に登録されていることから、多くの観光客が訪れる場所でもあります。

次の写真は、中国で発展著しい上海と、中国最貧困地域・四川省の大涼山の様子を並べたものです。

現在の中国の発展ぶりは目にすることが多いものの、四川省の大涼山を見たことがない方は、ぜひ一度だけでよいのでこのドキュメンタリー動画を見てほしいと思います。

崖の上の村

中国のテレビで報道されてことで有名になった「崖の上の村」!

YOUTUBEの動画内では5:13あたりから中国のテレビニュースで取り上げられたときの映像を見ることができ、ニュースキャスターが次のように紹介しています。

四川省大涼山は
我が国(中国)において
イ族がすむ最大の地域であり
全国に14カ所存在する貧困地区の一つでもあります。力

テレビニュースで取り上げられると、崖をよじ登って通学する中国の子供たちの姿がSNSを駆け巡り、多くの人に衝撃を与えました。
そして、死と隣り合わせの状況下で、毎日崖をよじ登る子どもの姿に、政府が動き出します。

2016年に地元政府が150万元(約2500万円)を拠出し村人の貧困脱却のために7ヵ月かけて作ったという全長約3㎞の鉄骨階段。

山の上までは高さ800mを登る必要があります。この映像を見るだけで足がすくみ、崖の上の村へたどり着くのがいかに大変なのか想像に難くありません。

その後、村には安定した電力供給、水道だけでなく、携帯電話の電波を含めたインターネット環境も導入されました。

次のCCTVの映像では、鉄はしごができる前の状況などを詳しく見ることができます。

しかし、鉄筋のはしごでも、やはり生活が不便であることは依然として変わらず、地元政府が貧困脱却の一環として、村の84世帯を崖下のある町に引っ越しさせました。

竹内亮監督も、この町を見て、崖の上の町とのあまりの違いに「時空を超えてきたみたい」と表現しています。

実際、崖の上の村から引っ越してきた人々も、「前の家と比べれば、ここの方が好きですね」と答えています。

映像の中でも語られていますが、政府が約30億円を出資して作ったという町。日本人からすると税金を使い、一部の人に家を支給することを快く思わない人もいるかもしれません。

しかし、中国は国土も広く、国民の経済格差も激しく、自助努力には限界があります。そのため、多くの国民が政府の貧困脱却政策を支持しています。

様々意見が分かれる当たり前!

しかし、この動画の完全版を見たうえで、それぞれの人が考えてくれたらよいのではないかと思います。

大涼山:徐老师(徐先生)の想い

まずはYOUTUBE動画を再度掲出しておきます。22:37あたりから見ていきましょう。

今回の一番の目的地!
大涼山

ここから徐亮さん!にスポットをあてながら映像を見ていきます。

上記の写真の向かって左がドキュメンタリー監督竹内亮さん。

右側の黒い帽子をかぶりメガネをかけて車の運転をしているのがカメラマンの徐亮さん(以下、徐老师[徐先生:じょ先生])

ドキュメンタリー監督竹内亮監督と名前が同じ“亮”さんですね。


実は、徐老师はもともと2018年7月から半年間、大涼山でボランティアの教師をやっていました。

彼は竹内亮監督の会社に入社した日に「大涼山のドキュメンタリー映像を撮りたい」と告げ、それをずっと言い続けてきました。

そして、遂に、それが実現!

中国では都会の南京出身の徐老师は、ボランティア当時、自分の生活とのあまりのギャップにショックを受けたとのこと。

いつかカメラマンとして自分のレンズを通して、大涼山の現実を皆に知ってもらいたい、それが徐老师の強い想いでした。

その思いが竹内亮監督の心を動かし実現したことで、この映像を多くの方が目にすることができるというのは凄いことですね。

《徐老师がボランティア活動をしていた双河小学校》

この学校には、毎年都会から教師が2~3名派遣されてきます。

しかし、標準語を話せない親もたくさんいるため、都会のボランティア教師はとても重宝されているにもかかわらず、生活環境の悪さに途中でボランティア活動を辞めてしまう人も多い

徐老师が特に仲良くしていた生徒のお宅を訪問したのが次の様子です。

この日は先生方が来られるため、特別に実家から民族衣装を持ってきて準備していたとのこと。

そして、生徒のお母さんが次のように話しています。

心から歓迎しているんです。
心から感謝しています。

先生方がほんとうに苦労していらっしゃることは知っています。
子どもたちに本当に良くしてくださって
全てを子どもたちに捧げてくださって
皆さんが来てくれて 子どもたちも変わりました。

以前教えてくれた徐先生も
今教えてくださっている黄先生も
本当にお二人には感謝しています
心の底から感謝しているんです

私自身体調が悪い時もありますし
数学の問題もよくわからないですし
国語もなにもわからないですから

皆さんに頼ることしかできなくて
だから感謝しているんです
来てくださってありがとうございます

お母さんの言葉を書き出しましたが、ぜひ生の声を映像で見て、自身で感じとってほしいです。

竹内亮監督は、このインタビューの中で
「真の貧困脱却には教育が一番重要であると再認識した」
と語っています。

都会に働きに行っても、共通言語がないと、都会の人のことを理解できない部分がある。物や機会が与えられても、都会の人と知識量や情報量が圧倒的に異なる。
だから、都会の人のことを理解することも難しい。

そのため、徐老师はボランティア活動で教師をしていた時は、毎日、歯磨きや洗顔などの生活習慣の違いから教えていました。
「こういう習慣は知識なんかよりもずっと大事だと思う。山から出て(都会に行って)生活するには必要なこと!」と徐老师は語っています。

インタビューを受けた子どもたちは、将来について聞かれて「都会は慣れないから、ここに残りたい」と言っていました。

しかし、これは外の世界を見たことがないからで、父親は

「私たちには先生方が必要なんだ。外から来た先生がね。
都会の大学で学ぶ学生が先生として この村に来てくれるみたいに
外のことを教えてくれる先生が必要なんだ」

と語っています。

特別授業

村での取材の最終日。徐老师が竹内亮監督にお願いをしました。

「子どもたちに日本文化を教えてほしい!」
「外国の文化にふれさせたい!」

そこで、なんと特別授業が実現!

子どもたちは日本について、次のような点を知っているとあげています。
「日本人は礼儀正しい」
「日本人は綺麗好き」

この子どもたちが日本のことを知ってくれている。このドキュメンタリー動画を見て私自身ビックリすると同時に嬉しい気持ちが込み上げました。

逆に日本人が、中国のことをどれだけ理解しているか。知っているのか。

特別授業は、竹内亮監督が日本文化を教える中で、勉強する意義、夢を口に出して言うことの重要さへと、話が展開していきます。

そして、今回の取材を通して、子どもたちも徐老师の言い続けてきた夢の一つの実現を目の当たりにすることとなります。

竹内監督は特別授業の中で、次のように語りだします。

あの徐老师(徐先生)もそうだったんだよ。
先生は僕の会社に入ったその日に
「大涼山でドキュメンタリーを撮りたい」と伝えてきたんだ。
「大涼山に行ってドキュメンタリーを撮る」ってね。

そしたら僕もある日”いいじゃん”って思って
「そんなに撮りたいんなら僕が連れて行ってやるよ」ってね
こうやって夢は実現するんだ
彼の夢のようにね

そして、竹内亮監督は、老师(徐先生)に一人の教師として前に来て一言話すように促します。

そして、徐先生はゆっくりと語りだします。

二年前僕が教師をやっていたとき
生徒たちに優しくしてあげられませんでした
ちょっと厳しく接していたんです

ここの人たちの生活はたいへんだとわかっているんです
本当に大変なんです
この学校にはボランティアの先生がずっといて
だからこの学校の成績はこの地域の中の
他の学校よりも良いんです

だからここの政府は
この小学校に新しい学校を建ててくれたんですが
新しい建物が新たな変化をもたらしてくれる訳じゃない

政府がやるべきことは
もっとすばらしい教師を派遣して
よりよい教育を施してあげることなんです

だからぼくはみんながこの山から出ることができるように祈っています

徐先生がレンズを通して紹介してくれるドキュメンタリー映像を、今後もたくさん見たいと思いました。

私は、電車も走っていない日本の小さな小さな島の片田舎で生まれましたが、大人になってからは都会で暮らしています。

ずっと日本で育った日本人が、本当の貧困を理解することはできません。

しかし、このブログを通し、このドキュメンタリー動画を紹介することで、一人でも多くの人が世界のことを知り、考えるきっかけとなったら嬉しいです。

竹内亮監督の伝えたかったこととは?

yahooニュースにも取り上げられ、竹内亮監督自身もTwitterでコメントされています。

動画内で竹内亮監督自身が語っていた最後のナレーションを抜き出してみてみましょう。

日本に生まれ 何不自由なく育ってきた私は
貧困の本当の苦しみを理解することはできない

私にできるのはありのままの現状を世界に伝えること

これを見た人は是非一度 この美しい大涼山に足を運んでほしい

真の貧困脱却の鍵は多くの人が彼らに関心を持つことそれに尽きると思うから

中国語版などの関連動画

《竹内亮「この映像を通して中国の多様性を伝えたい」【大涼山ドキュメンタリー試写会】》

上記映像は、”大涼山”の試写会を中国で行ったときの様子です。徐先生も参加されていますね。
中国の人には、どんなふうにこのドキュメンタリーが映るのか。彼らの表情を見るだけでも伝わる部分があるので、ぜひご覧ください。

《【中英字幕】中国貧困地区・大涼山ー日本人監督が見た現代中国の“多様性”【ドキュメンタリー】》

上記映像は、中国語と英語字幕版です。
中国語や英語を学習している方は、次の【中英字幕】でもご覧ください。

中国のYOUTUBERが崖の上の村の「鉄の階段」を紹介!

中国のYOUTUBERが実際に現場に行って語る動画を見ると、崖の上の村の「鉄の階段」が、どれくらい凄い場所なのかわかります。

ABOUT ME
minhe
30代後半の2008年、1週間の一人旅で初めて台湾へ行く。会う人みんな親切、かつ、この年に北京オリンピックがあったこともあり、中国語を勉強することを決意。仕事で使う機会なし、あくまでも趣味。2010年に中国語検定3級合格。その後、台湾の友人もたくさんできてSNSで交流しながら、あまり勉強せず。2018年くらいから、中国語学習を再開。2019年にHSK5級に合格。2023年3月に中国語検定2級に合格。今後は、HSK6級の合格を目指しつつ、中国語勉強関連のニュースを発信します。
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