目次
「は」と「が」の違いを桃太郎から学ぶ?
「は」は旧情報!、「が」は新情報!桃太郎から学ぶ!
外国の友達と相互学習をしていて、常に言われるのが、日本語の「は」と「が」の区別が難しすぎるということ!
実は、日本語の「は」と「が」の区別を日本の有名な昔話で説明できるのです。
まずは昔話の最初の部分を確認してみましょう。
むかし、むかし、あるところに おじいさんと おばあさんが おりました。
おじいさんは、毎日、山へ しばかりに、
おばあさんは、毎日、川へ せんたくに いきました。
日本人なら多くの人が知っている「桃太郎」!
しかし、よく見てみると、最初に「が」が登場し、次に「は」が登場しています!
区別 | が | は |
---|---|---|
ポイント | 新情報 | 旧情報 |
ポイント | 聞き手や読み手が「初めて聞く・知らない情報」のこと | 聞き手や読み手が「既に聞いた・知っている情報」のこと |
最初の「おじいさんと おばあさんが おりました。」という部分は、この物語で初めて登場(新情報)した人物を紹介しているので「が」を使っています。
ここで、読み手は、すでに「おじいさんとおばあさん」が登場していることを理解しました。したがって、次に、おじいさんとおばあさんが登場する場面(旧情報)では、「は」を使っています。
おばあさんは、毎日、川へ せんたくに いきました。
旧情報なので「は」が使われていますね。
大切なので、もう一度書いておくと、
区別 | が | は |
---|---|---|
ポイント | 新情報 | 旧情報 |
ポイント | 聞き手や読み手が「初めて聞く・知らない情報」のこと | 聞き手や読み手が「既に聞いた・知っている情報」のこと |
例1:「は」と「が」の区別(自己紹介)
別の例をあげて確認してみましょう。
友達Aに誘われて、10人くらいの語学勉強会に参加し、自己紹介する場面を考えてみましょう。
《自己紹介の場面》
A:きょうは、田中さんが参加してくれています。まずは自己紹介をしていただきましょう。
B:こんにちは、私は田中 学(たなか・まなぶ)といいます。よろしくお願いいたします。
※良く使われる名前を例にあげています。
ここではAさんが、参加者全員に、田中さん(新情報)を初めて紹介するので、「が」を使います。
しかし、この段階で、参加者は「田中さん」という名前の知識を得たので、田中さんが自己紹介するときは旧情報となり「は」を使います。
例2:「は」と「が」の区別(待合室で)
病院の待合室に10人くらいの人がいます。受付を済ませて、自分が診察を待っていることを想像してみてください。
《病院の待合室の場面》
A:田中さん!田中さん!田中さんはいますか?
B:はい!(手をあげて)私が田中です。
看護師さんが「田中さん、田中さん」と田中さんを探しています。看護師さんは「田中」という名前はすでにカルテなどに書かれていて知っているので旧情報となり「は」を使います。
待合室で座って待っている田中さんは手をあげて「私が田中です」と言います。ここでは看護師さんは「田中」という名前を知っているので旧情報でしたが、そのうえで知りたいことは「誰が田中さんなのか?」という新情報になるので、田中さんが返事をするときは「が」を使います。
もしも、このやりとりの「が」と「は」を入れ替えると、違和感のある日本語になるので確認してみましょう。
《病院の待合室の場面》
A:田中さん!田中さん!田中さんがいますか?
B:はい!(手をあげて)私は田中です。
※やはり、違和感のある日本語になりますね。
普段、「は」と「が」を意識して区別することはないのですが、外国人と相互学習しているときに、ふと日本語の質問をされて答えられないときが多々あります。
「は」と「が」の区別は、とても面白いと個人的に感じられたので、相互学習していて日本語を教える機会のある方は、参考にしてみてください。
台湾女性歌手「魏如萱(waa wei)ウェイ・ルーシュエン」の楽曲に『桃太郎』が登場
魏如萱(waa wei)とは?
1982年生まれの台湾女性歌手「魏如萱(waa wei)ウェイ・ルーシュエン」。
愛称は「娃娃(ワーワー)」(以下、ワーワーと記載)。”娃娃”とは、日本語では「赤ちゃん」「お人形さん」などの意味があります。
2003年にバンドのボーカルとして音楽活動をスタートさせ、2004年の1stアルバム『C’est La Vie』では、台湾のグラミー賞と称される第16回 金曲獎(Golden Music Award)で3部門にノミネートされました。
2007年に「魏如萱Waa Wei」のソロ活動を開始。2020年の金曲獎では、最優秀中国語女性ボーカル賞を受賞しています。
歌曲(奶奶)内に「桃太郎」が登場!?
2021年6月にリリースされたアルバム『Have A Nice Day』の1曲目に入っている歌曲(奶奶 Nai Nai:おばあちゃん)をまずは聞いてみてください。
最初の冒頭で、おばあちゃんが「桃太郎」を歌っています。
1分50秒あたりから「お母さんみたいね。本当にありがとうね。」、2分13秒あたりからは「太陽みたいね。月みたいね。」など、日本語の歌詞も登場します。
ミュージックビデオ内のおばあちゃん(奶奶)が日本語教育を受けた世代というのが伝わってきます。
ワーワーが91歳のおばあちゃんのために作った歌であり、中国語のほか、日本語、そして台湾でも比較的多い「客家語」という3つの言語で歌われています。
「桃太郎」は、ワーワーが子どものころ、入浴を手伝ってくれたおばあちゃんが、よく口ずさんだ曲です。さらに、ワーワーが子どもの頃に、祖父母が秘密にしたいことは「客家語」に切り替えて話していました。日常生活で2カ国語以上を使う地域では、こういった言語の切り替えが使われるのは自然でもあり、すごく面白いですね。
歌の最初の出だし部分の歌詞を確認してみましょう。
【日本語】ももたろうさん ももたろうさん
【客家語】从小你唱歌给我听
小さい時からあなたは私に歌を聴かせてくれたよ
【中国語】欸 可不可以买你的不快乐
ねぇ、あなたの嬉しくないこと(アンハッピー)を買うことはできるかな?
【客家語】现在换我唱歌给你听
今度は私があなたに歌う番よ
【中国語】听一听 你怎么就度估了
ちょっと聴くと なぜすぐウトウトするの?
この歌の最後では、次のようなフレーズで締めくくられています。
你要长命 你要百岁
「あなたは長寿でいてね 100歳まで生きてね」
你要健健康康快快乐乐ㄋㄟ
「健康に楽しく過ごしてね」
奶奶 来 笑一个
「おばあちゃん 笑って」
按靓喔 按靓喔【客语】
「一緒だよ 一緒だよ」
十八的姑娘一朵花 一朵花
「18歳の娘が一輪の花を一輪の花を」
最後のフレーズ”十八的姑娘一朵花 一朵花”は、台湾では有名な昔の歌曲で、YOUTUBE上で「鳳飛飛好歌 《十八姑娘一朵花》」は58万回も再生されています。ワーワーのおばあちゃんのお気に入りの曲名で締めくくることで、おばあちゃんへの愛も、すごく感じられる歌詞です。
この歌を聞いたとき、私が初めて台湾を一人旅したときのことを思い出しました。台湾の花莲にある日本式ラーメン屋で、となりにすわった2~3歳くらいの子どもをつれた夫婦と、片言ながらに会話したことを思い出します。このとき、台湾でも「桃太郎」の歌が流行っていると話していて、桃太郎の日本語の歌詞をメモ帳片手に教えて、私はその場で中国語を教えてもらいました。
これが一つのきっかけで、台湾を好きになり、台湾にはこの後も数回旅行しています。
台湾は、1895年から1945年の50年もの間、日本でした。
1945年に日本に原子爆弾が投下され、その後、台湾は日本の統治から離れることになります。
私も戦争を経験していない世代ですが、初めて台湾を訪れたときに、日本式のものがあちこち残っていたり、日本語を話せる人が多くいろんな人に助けてもらったことを覚えています。
2011年に台湾を旅行したときに手助けしてくれた人のエピソードは、【台灣:你的名字】“我不知道你的名字,有机会的能再跟你见面的话,我一定会对你说声谢谢。”で詳しく旅行記(日本語&中国語)を書いていますので、興味のある方は読んでみてください。
当時、助けてくれた方には、きちんとお礼を言えないままだったので、いつか会えたら少しは上達した中国語で感謝を伝えたいですね。
旅行のときに、何度も周りの人に助けてもらったこともあることから、日本に来る海外からの旅行者が地図やスマホを片手に困っていると、声をかけて手助けしたくなり、語学学習もいろんな言語を学びたいと思うようになりました。
世の中には何十ヵ国語も話せるPolyglot(ポリグロット)という方がいますが、彼らの勉強方法もとてもためになります。
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